副題:臨床で出来る客観的な歩容データの採取
<はじめに>
通所介護の臨床において、脳血管障害者の短下肢装具の多くが障害を発症したときに作成した物であり、
数年経過した現在では身体に適合しないケースが多数存在する。
そこで本研究ではゲイトソリューション(以下GS)とシューホーンブレイス(以下SHB)をそれぞれ装着して歩行させ、
その動作をカメラにて撮影し、歩容の違いについて比較したので以下に示す。
※ゲイトソリューション(GS)とは?
片麻痺の不自由な足を補助し、「歩行改善」を目的とした短下肢装具。片麻痺者が歩きにくいのは、脛の筋力が上手く使えないためであり、その筋力を補う機能があります。参照ページ>>>
※シューホーンブレイス(SHB)とは?
<対象>※イメージ画像です。
御利用者A(以下A)/70歳代/女性
[平成11年に脳出血発症(発症から16年経過)]
平成26年2月より弊社デイサービス(歩行リハビリセンターHOKORU)をご利用開始。
平成26年10月よりSHBからGSに変更する。
BRS:上肢3、下肢4、手指2
【方法】
AにGSとSHBをそれぞれ装着させ、歩行動画を矢状面より撮影する。
カメラはLogicool社製 HD Pro Webcam C920を使用する。
Aには肩峰、大転子、膝関節中央、外果、踵、足尖にマーカーを設ける。
さらにイニシャルコンタクト(以下IC)とローディングレスポンス(以下LR)のタイミングが客観的に分かるようフットスイッチを足底にセットしそのタイミングでLEDを点灯させる。
撮影した動画を動作分析ソフト(Kinovea-0.8.23)にて、歩行中の3歩を切り出し、
膝関節最大伸展角度、ケイデンス、ストライド長、ICからLRまでの時間を算出し、比較する。
さらにGSとSHBの歩行のしやすさ及び、GSを装着することで生活に変化が出た点をアンケートにて調査した。
【結果】
●SHBを装着した歩行では
膝関節最大伸展角度平均-1度、ケイデンス0.74、ストライド長平均51.38cm、ICからLRまでの時間平均0秒であった。
●GSを装着した歩行では
膝関節最大伸展角度平均0度、ケイデンス0.69、ストライド長平均55.12cm、ICからLRまでの時間平均0.1秒であった。
膝関節最大伸展角度はGSの方が1°伸展を抑制できた。
ケイデンスはSHBが0.05良いが、ストライド長はGSが11.22cm多かった。
さらに、ICからLRまでの時間がSHBは0秒であったのに対し、GSでは平均0.1秒程度長かった。
質的内容では歩行のしやすさにおいて、SHBは歩行時に足全体で歩くので、足首が自由に動かない。
歩行中に立ち止まって度々休憩が必要であったという解答であったのに対し、
GSでは踵から着地でき歩行しやすく、歩行中に休憩する回数が減少し、長く歩けるようになったという回答であった。
また、生活に変化が出た点においては、脚が疲れないので福岡にショッピングに出かける事や、
旅行に行くことが可能になったとの回答を得た。
【考察】
左側)GS、
右側)SHB
床反力作用線はICとLRの間、足関節の後方を通過し、足関節底屈方向・膝関節屈曲方向の外部モーメントが発生する。
SHB歩行ではIC~LRまでの時間が0秒であったことから、ICが踵ではなく足底で接地していることが分かる。
これでは膝関節に外部伸展モーメントが加わる。その結果膝関節は伸展する為、前方への推進力が減少する。
そこでニーロッカーによりその推進力を代償するという戦略にて歩行動作を実施するが、
膝関節にはメカニカルストレスが発生し、その結果反張膝を助長していると考えられる。
GSではIC~LRまでの時間が0.1秒出現したことにより、ヒールロッカーが生じており、
膝関節伸展角度が減少していることからニーロッカー戦略も改善していると考える。
そしてストライド長が伸びていることから、ニーロッカーよりヒールロッカー戦略の方が運動効率が良いと考えられる。
【まとめ】
SHBからGSに変更したことによりヒールロッカーが出現し運動効率が良く、
メカニカルストレスが減少した歩行動作の獲得に繋がる事が示唆された。
(倫理的配慮,説明と同意)
歩行リハビリセンターHOKORU
1 >
研究まとめ
健康運動教室「健康トレーニングin月出」発足について
おうちでリハビリ ラシクアーレ 理学療法士/田中聖也
2015年熊本市東区月出にて健康運動教室「健康トレーニングin月出」を月に2回開催
・発足することになったのか
・発足するまでの経緯
・何がもたらせたのか
維持期片麻痺患者の歩行における短下肢装具の足関節固定と足関節可動による比較検討ゲイトソリューション
歩行リハビリセンターホコル 理学療法士/浅井清尊
通所介護の臨床において、脳血管障害者の短下肢装具の多くが障害を発症したときに作成した物であり、数年経過した現在では身体に適合しないケースが多数存在する。そこで本研究ではゲイトソリューション(以下GS)とシューホーンブレイス(以下SHB)をそれぞれ装着して歩行させ、その動作をカメラにて撮影し、歩容の違いについて比較した。
当施設利用時の歩行計測とその比較検討
歩数計速の有用性
歩行リハビリセンターホコル 理学療法士/佐藤文彦
一般的に身体活動量が多い者は疾患の罹患率や死亡率が低く、運動はメンタルヘルスや生活の質の改善に効果があるとされている。当施設来所時に万歩計を取り付け、利用終了までの3時間の歩数を計測し、今後の目標向上心を賦活できるように来所毎の記録に加え有効記録歩数を500歩以上とルール付けし、1回目と2回目の歩数を対応のあるT検定にて比較した。
潜在的な随意制御と反射調節が異常歩行に与える影響 姿勢調節チューニング装置
BASYSの有用性
歩行リハビリセンターホコル 理学療法士/奥村祐子
介入 BASYSのプラットホーム上で対象者が足関節を意識した重心前後移動を実施する。介入1をインフェイズモード、介入2をアンチフェイズモードとし、各モード異なる日に実施した。2.評価 介入前後において自然歩行を行い、固定撮影する。その後、動画解析ソフトを用いて①ストライド長②立脚相時間③遊脚相時間をそれぞれ非麻痺側、麻痺側から抽出し介入前後を比較した。
見られる私(セラピスト)
おうちでリハビリ「ラシクアーレ」 理学療法士/田上綾香
【前研究】失語症のある方とのコミュニケーションに難渋したケースについて、会話が進むきっかけとなったのが「記憶を辿る行為」であったことを報告。森岡(2014)は、以下省略「目の観察は心を読みとるために重要である」と定義。コミュニケーションツールは、「共通の記憶」を探る行為なのではないかと考えた。今回課題として随意的な行動の発現を起こす為、対象者が映っている過去の思い入れ深い静止画・動画、全く他人の動画の計3種類をリハビリテーション前に見てもらう。その後の、表情・発言・活動性の変化を観察した。
マニュアルとハラスメントについて
歩行リハビリセンター HOKORU 理学療法士/浅井清尊
今日のわが国の社会情勢を鑑みると、経済効率優先の裏面として社会モラルの低下が強く問われており、職業倫理感の不足や欠如に起因すると思われる事故や事件が表面化し、職業倫理破壊が始まったと言われている。そのような状況でどのように新社会人教育を行うと一人前として患者への対応が出来るようになるのか、また教育する側とされる側のメンタルストレスを減少させ効率よく教育できるのか。今回はマニュアル作成から実行を通して弊社の新人トレーナーのメンタルストレスの変動について報告する。
懐かしさと私
おうちでリハビリ「ラシクアーレ」 理学療法士/田上綾香
今回、右片麻痺と運動性失語症のある患者を担当し、コミュニケーションが上手くとれず、リハビリテーション介入に困難を要した。私とのコミュニケーションを避け、表情が硬く、自発的な運動の呼びかけに対し首を横に振るなどの拒否反応が頻回にみられた。しかし記憶を辿れるような介入を期に笑顔や感動を表現するなど感情の豊かさがみられ始めた。次第に自発的な行動もみられたため、この行動変容の意味づけを考察したのでここに報告する。
他職連携の円滑化を図るには〜自宅間取り図を介して〜歩行リハビリセンターHOKORU 社会福祉事/小平千遥
今年度の介護報酬改定により自宅訪問による生活状況の確認が義務つけられた。そこで弊社は独自に自宅訪問調査票に工夫を加えた。利用者が社会参加を果たせるために日常生活の改善・QOLの向上を強く意識したプログラムを理学療法士に依頼し、生活相談員が自宅訪問調査を行っても利用者の状況を把握していることから自宅での効果判定をスムーズに遂行することが可能である。今回このような効果の見られた点について、生活相談員としての介入方法も含め自宅訪問調査の工夫を紹介する。